今やモバイル向けのCPUでも、当り前になった「マルチコア技術」。登場時には「高速化」が目的でしたが、現在では「消費電力の抑制」にも役立てられています。

■ arutanga

クロックの限界から生まれた

 1GHzを越えるCPUクロックが一般的となり、現在と変わらない「3GHz」前後まで上昇すると、発熱の高さや、動作電圧の限界から、動作周波数を上げる性能向上のアプローチは、行き詰まりました。

※現在も動作周波数は最高で「4GHz」程度であり、クロックによる高速化は、ほとんど進んでいません。

 この動作周波数の限界に到達した2005年ごろ、インテルが「Pentium D」「Pentium XE」を、AMDが「デュアルコアOpteron 2xx」「Athlon 64 X2」を、それぞれ最初の「マルチコアCPU」として発売します。

インテルは「マルチ・ダイ」、AMDは「シングル・ダイ」

 インテルの最初のマルチコアである「Pentium D」は、単純に2つのCPUのダイを1つパッケージに封入した、「マルチ・ダイ」形式でした。

2つのダイを並べた「Pentium D」

 一方のAMDは、エンタープライズ向けの製品を想定した「K8アーキテクチャ」では、デュアルコアが当初から想定されていたため、「シングル・ダイ」でデュアルコアの「Athlon 64 X2」を発売することができました。

ヘテロジニアス・マルチコア

 同一設計のコアを複数搭載する「ホモ・ジニアス方式」のほかに、異なるコアを搭載する「ヘテロ・ジニアス方式」のマルチコアも存在します。
 たとえば、ソニーの「PlayStation 3」に採用された「Cell」プロセッサは、1個の汎用的な「プロセッサ・コア」と、8個のシンプルな「プロセッサ・コア」で構成される、「ヘテロ・ジニアス・マルチコア」です。

「省電力技術」としてのマルチコア

 「ヘテロ・ジニアス・マルチコア」の目的として、処理負荷が低く、高性能が要求されないときには、メインのコアを休ませる「省電力」が含まれます。
 たとえば、NVIDIAの「Tegra 3」では、メインである4つのコアに加え、低性能で低消費電力の「コンパニオン・コア」を状況に応じて活用する、「4-PLUS-1」という技術が採用されています。

中央に4つの「メイン・コア」、その上に1つの「コンパニオン・コア」を備える

 必要なパフォーマンスに合わせて4つのコアから必要な数だけを利用。「メイン・コア」が不要なときは、「コンパニオン・コア」だけで動作し、消費電力を削減します。