「ESP8266」は、正式には「CPU」と「Wi-Fi機能」が搭載されたIC「ESP8266EX」(Epressif Systems社)に、「周辺回路のクロック」や「メモリ」「パターンアンテナ」「シールド」を付けてモジュール化した、「ESP-WROOM-02」を指します。

■ 押切 眞人(Cerevo)

「ESP8266」の魅力

 このモジュールのいちばんの魅力は、「32ビットCPU」と「Wi-Fi機能」が1つにモジュール化され、市場価格も500円程度と非常に安価な点です。
 これまでネットワークに接続できる機器を個人で作ろうとすると、「CPUボード」と「汎用Wi-Fiモジュール」を組み合わせて、1万円程度はかかっていたことを考えると、破格のコストと性能です。

 また、「Wi-Fi」で使う電波の利用には国ごとに法律が定められており、日本では「技術基準適合証明」と「技術基準適合認定」のいずれかを総務省申請して基準を満たしているかの認定を取得する必要があります。
 これらの認証は通称「技適」と呼ばれ、「技適マーク」と呼ばれるロゴを製品につけることになります。

 このマークのない製品は認定を受けていないということになり、国内で利用することはできません。
 「ESP-WROOM-02」は、写真のように技適認証マークが入っており、日本でも安心して使えます。

 このモジュールによって、いわゆるネットにつながる「IoT」(Internet of Things)機器が個人の趣味でも気軽に作れるようになりました。
 そのため、多くのユーザーが愛用しており、世界で使用例も公開され情報が豊富です。

「ESP8266」でできること

 購入時の状態では、「UART」※というCPUでは汎用的な通信方式で、別のホストCPUと通信して、「ATコマンド」という通信方式で「Wi-Fi」を制御し、「ESP8266」を通して「PC」や「スマートフォン」「タブレット」と通信することができます。

※Universal Asynchronous Receiver Transmitter

 また、開発環境を整えることで、UART経由でCPUのプログラムを書き換えることができ、より多くの機能を自由に扱えます。

 「Wi-Fiの制御」はもちろん、CPUの「GPIO」※を制御して「接続したLEDの輝度を変える」ことができます。
 また、「SDカードとの通信」「I2Cデバイスのセンサとの通信」「ADC※※を使ってアナログ・センサの値を読む」こともできます(ADCは1ポートのみ)。

※General Purpose Input/Output(汎用入出力)
※※(Analog-to-Digital Converter)

 「Wi-Fi」がない「汎用マイコンボード」では、「GPIO」に「LED」と「スイッチ」を接続して、「スイッチを押すとLEDが光る」といったクローズドな構成にしかなりませんが、「ESP8266」を使えば、「スマホの画面上のボタン」をタップして、「LED」を遠隔からネットワーク越しに光らせる、といったことが可能になります。
 「モータ」をつなげば、「スマートフォンでコントロールするラジコン」のようなものもできます。
 さらに応用すると、「ESP8266」につないだセンサの値をネットワーク上に上げてクラウド上で解析したり、解析結果をユーザーに通知することもできます。